マイケル・ジャクソンの急死後、世界中のマスコミは生前の奇矯な振る舞い、幼児虐待報道を忘れたようだ。
遺児の葬儀挨拶で御涙ちょうだい、あるいは人種差別に打ち勝ったスーパースター扱いである。
カストラート(Castrato)を御存知だろうか?
カトリック教会やイタリー・オペラ界で、15〜19世紀末のあいだ行われていた人間騸馬(せんば)のことだ。
貧乏な家庭に生まれた歌の上手な男児を幼児期に去勢し、永遠のボーイソプラノ歌手として育てたヨーロッパ社会の奇習である。
本人や親の同意のもとに10歳前後の少年を声変わり前に手術する。
中国の宦官(かんがん)と異なりカストラートの場合は棹を残して睾丸だけを除去。
少年がソプラノである期間は短く、声変わりが始まって次々に歌手が交代すると、歌唱団のレベルアップが達せられない。
そこで生まれつき容姿に恵まれ、歌唱力ある子供を選んで去勢し、肺活量と喉の筋肉を特殊なボイス・トレーニングで鍛え上げる。
この方法で、この世の声とは思えない高音声と大声量が確保されるようになった。
カトリックの教会音楽だけではなく、19世紀末までのイタリー・オペラ歌手は大半がカストラートといわれる。
カストラートがいなかったらクラシックの声楽は成り立たなかったほどの日常性を、現代人の倫理観で裁く訳にいかないだろう。
http://vids.myspace.com/index.cfm?fuseaction=vids.individual&videoID=2023312594
なぜ20世紀に入ってからカストラートが消え去ったのか?
最大の原因はマイクロフォンの発明と考えられる。
クラシック音楽につきもののベルカント唱法は、演奏会場の一番奥まで声が届くように無理な歌い方を要求された。
近代科学の恩恵は “ 普通の歌い方
” でも電子技術によって増幅する方法で、遠くに座った聴衆が聴こえるようになったのである。
もちろん 「 人道的に去勢手術は許されない 」
という社会の要請もあったはずだ。
最後のカストラートが亡くなったのは1922年といわれる。
アレッサンドロ・モレスキ(Alessandro Moreschi;1858年11月11日‐1922年4月21日) |
歴史上最後のカストラート |
ヨーロッパ音楽界は、このように危ない背景があったからマイケル・ジャクソンの美声は、30年以上前から去勢手術を疑われていた。
同じ幼児歌手出身でもスティービー・ワンダーやダニー・オズモンドと違い、思春期の
“ 声変わり
” が見られなかったからだろう。
海外メディアでは死亡発表前も「 去勢された歌手 」
という憶測記事が結構あったほどだ。
http://www.itwaslost.org/2007/04/special-report-is-michael-jackson.html
http://www.neoseeker.com/forums/73/t1386508-michael-jackson-castrato/
死後に発表された疑問。
http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20090705021244AA2C6XG
ゴッド・ファーザーの原作者、マリオ・プーヅォは莫大な印税を手にしてラスヴェガスのカジノ・オーナーとなり、1980年に興味深いギャンブル小説を書いている。
“ 愚者は死す ”
という小説でマイケル一家を当てこすった場面が登場する。
小説では金に目の眩んだ父親の試み(我が子の去勢)は、救いの手が現れて実現しない。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/B000J88P8W/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books
しかし現実のマイケル一家は父娘相姦が暴露される殺伐とした家庭環境であった。
ジャネットとラトーヤの二人の姉妹が父親に犯されているのだ。
ショービジネスを利用することで9人家族の貧困生活から抜け出そう、と考えた父親は何を企んでも不思議でない。
マイケルの遺書は父親を絶対に許さない怒りが溢れていたという。
ひょっとしてマイケル自身も毒牙にかかったのかも?
成人後のマイケルの常軌を逸した少年愛は、自らの不幸な運命を呪った自虐プレーとしか思えない。
なにしろ葬儀に参列したマイケルの子供たちは、それぞれ父親が異なる、白人の精子で人工授精した
“ 異父母兄弟 ” である。
以下にカストラートの製造方法その他が詳しい。
http://www.usrf.org/news/010308-jenkins_lancet.html
マイケルのパフォーマンスは世評と異なり、独創性に溢れた作品とは言い難い。
オリジナルは1920年代のボードビリアン、キャブ・キャロウェイCab Callowayのミニー・ザ・ムーチャーに求められる。
Cab
Calloway - Minnie the Moocher
http://www.youtube.com/watch?v=8mq4UT4VnbE&feature=related
キャブ・キャロウェイのダンスを現代的に洗練させた歌手がジェームス・ブラウンであり、その後継者をマイケル・ジャクソンと捉えたい。
James Brown - I Feel
Good
http://www.youtube.com/watch?v=XgDrJ5Z2rKw&feature=related
黒人がMTVのスターに伸し上がった前人未到の業績にアヤを付けるわけではない。
それでも 「 芸事の表彰式 」 には順序がある。
ミニー・ザ・ムーチャーとは、たかり屋ミニーのこと。
上手いこと言って男から小遣いを巻き上げる姐御( あねご )
がミニー。
マイケルのスムース・クリミナルはもっと複雑だ。
Smooth criminal ⇒ 口先は達者だが役立たず、あるいは綺麗事ばかり言う悪党。
更に深いスラングでスムースの意味は 「 陰毛が生えていない
」
Smooth (海外スラング辞典より) |
The shaved
male body. The hairless chest. The removal of pubes. |
体毛を剃った男性
胸毛が生えていない 陰毛の除去 |
気のせいか、なぜかマイケルのビデオは少年ばかり登場する。
Smooth Criminal Michael
Jackson
http://www.youtube.com/watch?v=ex30DYwQlHU
ついでながら棹を取っても普通に勃起して性行為そのものは可能である。
精液は出ないが前立腺に溜まった液体が噴出される。
したがってイタリー・オペラのカストラートは、貴族の奥方の愛人として大歓迎された。
絶対に妊娠しない生本番の尖兵であると。
Smooth Criminal
口は達者だが借金ばかり増やす日航経営者、政策投資銀行に公的資金をねだるだけの日航経営者。
今回の貧乏ブルースはマイケル・ジャクソンのために書いた番外編である。
成人後のマイケルの歌は意味深なタイトルが多い。
Off the
wall ⇒ちょっと風変わり
http://www.youtube.com/watch?v=S11eGmzM-4E&feature=related
Beat it ⇒ 出ていけ!
http://www.youtube.com/watch?v=ZkGOiS75Lwk
Thriller ⇒ 観客にぞっとするような恐怖を与える作品。
http://www.youtube.com/watch?v=cIqj0xD7VCY
ムーン・ウォーカーの最終シーンで登場する Ladysmith Black Mambazo こそ、アフロ・アメリカン・ミュージックの原点。
南アフリカのズールー族 (Zulu) のダンスが出発点なのである。
http://www.youtube.com/watch?v=qLBeRLO1Jgw