< 日航株の バイ・インは あったのか? >
結論
民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず
日本航空の増資に関する最大の疑問は、ファイナンス期間中に証券市場で厳禁とされるバイ・イン(
Buy-In ) が実施されたかどうかなのである。
以下の記事は、法令違反が行われたのか否か言及していない。
朝日新聞2009.8.27 |
証券市場関係者によると、香港ファンドは増資発表後、株を保有せずに売る契約を結ぶ「空売り」を 日本の証券会社を通じて大量に発注。空売りで株価下落を加速させる一方、株を受け渡す期日には 渡さず、公募価格が安くなった新株を取得したあとで渡していた。 株の売却時は、いったん大量の買い注文を出して一時的に株価を維持するなどしていたという。
|
監視委は、株の受け渡し期日をやり過ごした空売りや買い注文などを組み合わせた一連の取引が、 株価を意図的に操り多額の利益を得ながら他の投資家の判断を誤らせる行為とみて、金融商品取引 法(旧・証券取引法)で禁止されている不正取引にあたると判断している模様だ。 |
バイ・インが実際に行われたのかどうか?金融庁まで質問に行ったが門前払い。
東京証券取引所や日本証券業協会は商売の秘密だから、絶対に明かすはずない。
朝日新聞に “ 大本営発表記事
” の真偽を尋ねても返事が貰えず。
バイ・インとは? |
決済期日に売り手から買い手に対する証券の受渡しが行われない事態(フェイル)が発生したとき、 買い手の請求により、証券の強制買付けを行うことをバイ・インという。 受け渡し不能になった株を市場で買うのだから、価格の高騰を厭わない。 |
Investopedia
explains Those
who fail to deliver the securities will be notified with a buy-in notice.
Failure to answer the buy-in
notice means the broker can buy the securities and deliver them on your
behalf. You must then pay back the broker
at whatever price. |
早い話が「無いもの」を勝手に売っちゃって、あとで詫びを入れて買い戻す手法だ。
株式市場で行われる空売りは
(1) 他者から事前に株を借りて売り、あとで買い戻して貸し方に返済する(
反対売買 )
(2) 他者から事前に株を借りて売り、あとで自分の保有株を返す(
品渡し )
の2種類である。
(2)
の手法は一般的に繋ぎ売り(つなぎうり)という。
繋ぎ売りの目的は?
(A) 一時的に売却者の名義発覚を遅らせる
(B)
配当金や株主優待券の権利を欲しいが、株価下落リスクは負いたくない。
(C) 後日に入手予定の公募増資株を前もって処分
商品先物市場のように 「
無いものを帳面上で売る取引」 とは理屈が異なる。
為替や原油などの商品先物取引は差金決済取引
(
Contract for Difference ) と称し、当該商品の現物移動は、ほとんど有り得ない。
信用取引 ( margin
transaction ) の空売りは、証券会社と顧客の間に発生する貸借関係である。
取引所を経由する売買当事者間(会員証券会社)の取引は原則として現物決済が行われる。(株券電子化の場合でも意味は同じ)
先物取引は僅かな値動きで大きな利鞘を確保できるように、賭け金率
( leverage )が巨大化する。
株式の信用取引は証拠金の約3.3倍までしか売買できない。
外為先物
( いわゆるFX ) は640倍まで売買可能だから、一夜成り金と首吊り自殺を続出させた。
この世に存在しないはずの巨額の物量が建て玉され、反対売買で損得だけが清算されるのだ。
JALの場合、ファイナンス最終時の出来高は、1か月前の約7倍に膨らんでいる。
2006年7月中の日航 週間出来高 | ||
週 |
株価(円) |
週間出来高 |
6月26日 |
287 |
46,454,000 |
7月3日 |
276 |
108,100,000 |
7月10日 |
254 |
79,496,000 |
7月17日 |
215 |
288,602,000 |
7月24日 |
215 |
334,756,000 |
7月31日 |
212 |
95,467,000 |
なぜ、新マネー砲談は、かくも受渡し遅延に関してこだわるのか
ここで皆さんに日航株の受渡し遅延は、ジェイコム事件に酷似していると申し上げたい。
発行済株式の6.6倍が売られてしまったジェイコム株事件 |
2005年12月8日の午前9時27分、同日東証マザーズ市場に新規上場された総合人材サービス会社 ジェイコム株式(発行済株式数14,500株)において、みずほ証券の男性担当者が「61万円1株売り」 とすべき注文を「1円61万株売り」と誤ってコンピューターに入力した。 事件が「みずほ証券」の誤発注であることが明らかにされたのは、大引け後に同社が会見を開いた6時 近くである。 誤発注であること、その当該証券会社が即時に明らかにされなかったこと、また当日の12時頃に大株主 のみずほコーポレート銀行および農林中央金庫だけに誤発注の経緯を報告していた事実については、 市場の透明性を損なうと非難する声もあった。 売り方の「みずほ証券」は、現存する総株式数の6.6倍もの引渡しを求められる格好となり、通常での 取引決済が不可能となっていることから、日本証券クリアリング機構は現金による強制決済による 解け合い処理と裁定した。 |
【2005年12月23日】 金融庁はジェイコム株大量誤発注を行ったみずほ証券に対して業務改善命令を出した。 同日みずほ証券は最終的な損失が約407億円に達したことを発表した。 |
周知のごとく、ジェイコム誤発注事件は 「
ないモノを売ったら、上がってしまった」
株数を間違って「多く、売り過ぎてしまった」
ジェイコムで発生した損金は
「 みずほ証券 」 が負担したという。
日航の場合は 「 ないモノを売って、思惑通りに下がった
」
間違い玉でなく、確信犯による 「 多く売り過ぎ 」
日航の場合、売り過ぎた株数の譲渡益は何処に消えたのか?
前受け金と株券保護預かり制度がタテマエに過ぎなかった旧来の証券界(2000.12) |
取引の安全性を図る観点から、顧客が現物を売却する場合には約定前に現物を預り、また購入 する際には現金を約定前に受け入れる、いわゆる証券・資金の先入れ(前受け)慣行のルール化 は決済の円滑化等に有効である。証券・資金の先入れ(前受け)慣行の徹底化を図るため、特に 保護預り率の相対的に低い株式取引について、保管振替機関への預託を促進する必要がある。 |
バイ・インの経費を少し持つと云いだした東証 2006年12月18日 読売新聞 |
東証の主張の論拠は、証券取引法の規定で、取引所の業務を「有価証券市場の開設」とし、証券会社の 業務を「有価証券の売買の媒介(仲介)」としていることにある。東証のシステム障害が原因のトラブルで も、売買注文を突き合わせる過程で発生していれば、証券会社の責任になるという理屈だ。
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東証はこれまで「重大な過失がないため、賠償責任はない」と主張してきた。 ただ、みずほ側が提出した訴状の中で、西室泰三・東証社長が交渉の最終段階で、和解金として40億 円を支払うと提案していたことが明らかになった。 |
証券受渡・決済制度改革懇談会 2000年3月31日 |
証券・資金の先入れ(前受け)のルール化 取引の安全性を図る観点から、顧客が現物を売却する場合には約定前に現物を預り、また購入 する際には現金を約定前に受け入れる、いわゆる証券・資金の先入れ(前受け)慣行のルール化 は決済の円滑化等に有効である。証券・資金の先入れ(前受け)慣行の徹底化を図るため、特に 保護預り率の相対的に低い株式取引について、保管振替機関への預託を促進する必要がある。 |
証券決済における決済リスク管理に関する考え方 日本銀行 |
この場合、仮に証券の引渡方がフェイルすれば、それに対応する証券の受取方の資金支払額が変更されることになる。フェイルした証券についても、代りに第三者がその日のうちに証券を引渡すことができれば、証券 の受取方の資金受払額を変更する必要はない。しかし、一般的に、証券のアベイラビリティは資金のそれに 比べ低いことから、第三者が当日中の証券引渡しを保証することは容易でない。 したがって、その日の証券の引渡しは見送り、翌日以降に決済が持ち越される場合が多い。 また、さらに一定期間経過してもフェイルが解消されないときには、バイ・イン(フェイルした者のコスト負担に より市場から当該証券を購入すること)を実施し、後日、受取手に証券を引き渡すこととしていることが多い。 http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/kako/data/fwp01j03.pdf |
2006年7月の増資はバイ・インが執行されたことで、公募払込みが完了したのか?
そして2008年3月の1500億円第三者割当増資に辿り着いたのか?
バイ・インくらいでガタガタ騒ぐな!と世の中をなめきっているのかも知れない。
人件費の記載金額が、外国人向け報告書と日本人向けでは2倍も異なる日本航空
http://tokyoutlaws.web.fc2.com/takarada/jal11.html
日本航空 産業再生法を活用か 2009.9.7 新聞各紙 |
業績悪化で資本不足に陥っている日本航空は、公的資金を活用した日本政策投資銀行からの資本注入 を申請する検討を始めた。資本増強で財務基盤を強化し、信用力を高める狙い。 日航の業績は航空需要の落ち込みで急速に悪化し、09年3月期連結決算は631億円の最終赤字、 同4〜6月期も990億円の最終赤字に陥った。 |