< JAL 駕籠脱け増資 >

 

結論

 

JALの破綻処理で 日本の資本市場が問われる

 

 

金融庁は8月27日、日航株の公募増資期間中に不正取引があったと認めた。

2006年7月に行われた公募増資は不正売買をベースに払い込みが完了した、と国家が宣言したに等しい。

 

海外の投資家による国内市場での不正取引は、監視委に直接の取り締まり権限がないため、香港当局に情報提供した

 

金融庁は振り上げた拳を、どこへ降ろすつもりだ?

香港当局に犯罪情報を渡して “ 本日の公務 ” は終了か?

銀座の宝石屋にギャングが押し入ってガラスを打ち破り、ピストルを乱射しても犯人が外国人ならば見逃すのか?

いったい、何時から日本は外国人犯罪の治外法権に舞い戻ったのか?

 

明治の不平等条約時代に戻った金融行政

度重なるフェールなどの不審な取引を見つけた証券取引等監視委員会は、同ファンド

による一連の取引が、不正に株価を下げる目的で空売りをする一方、安くなった新株

を取得し、多額の利ざやを得る目的だったとして、金融商品取引法違反の相場操縦

行為に当たると判断。

海外の投資家による国内市場での不正取引は、監視委に直接の取り締まり権限がないため、

香港当局に情報提供した。

 

株式の発注システムがコンマ何秒の世界に移行しながら、決済代金の受け渡しは明治時代同然の、約定日から4日目(96時間後)という不合理が存在する。

受け渡し決済日が約定日から勘定して4日目という制度は、明治時代の米穀取引所に由来するらしい。

商品先物取引の一環であったコメを現物の精米に転換するとき、倉荷証券を発行する制約から、物理的に中3日の猶予をおいたといわれる。

 

A氏がオンライン・トレーディングで株を買ったとしよう。

その株を売ったB氏は旧来ながらの電話注文で発注し、おまけに株券も押入れにしまってあった。

3〜4日目に証券会社の従業員がB氏のお宅を訪問し、現金を渡して株券を受け取り、証券取引所に届けるシステムとなっていた。

夕方になると日本橋兜町を自転車でぐるぐる行き交う、証券会社の従業員は、来日した全世界の金融ビジネスマンを驚倒させたという。

名古屋の田舎でもトヨタの工場ではロボットがレクサスを組み立てている。

目の前で自転車に乗ったベトナムの行商人のような大群が、背中に何億円の株券を背負って走り回る日本という国はなんとミステリアスな……。

 

こんな恥ずかしい光景を改めようと株券の保護預かり制度を促進させ、1991年からは株券を振替決済させる方式がスタートした。

続いて株券の電子決済化が進められる。

 

株券電子化とは、どういうことですか?

金融庁のホームページ

http://www.fsa.go.jp/ordinary/kabuken/qa.html#01

 

金融庁のホームページが喧伝する株券ペーパレス時代の今日、物理的に何百億円の受渡不能事件は起こり得ない。

仮に起きたら、発注側の外資ファンドは元より、受注した証券会社が営業停止になるはずだ。

そもそも、2006年7月の日航株は現物の株券受け渡しが行われていなかったという。

すべて電子決済の受け渡しシステムで、なぜ受渡不能事件が起きたのか?

 

過去5年間に起きた決済不能 (証券会社数)

2004年

30

2005年

18

2006年

16

2007年

12

2008年

12

http://www.jscc.co.jp/genbutsu/fail.html

 

発注した外資ファンド以上に糺されるべきは、全てを承知で受注した日本の証券会社であろう。

大量の “ 今、そこに無い株式 ” を闇雲に売って 「 ゴメン!株券は後で届ける 」 が許されたのである。

もちろん、後日に払い込まれる増資新株を振り替えるシナリオで。

 

「 てめぇ! まるで駕籠脱け詐欺じゃぁねぇか!」

 

駕籠脱け詐欺(かごぬけさぎ)とは?

当人とは全然関係ない建物や部屋を利用し、そこの関係者のように見せかけて相手を

信用させ、金品を受け取ってから相手を待たせておき、自分は建物の別の出入り口

から逃げる手口の詐欺。

駕籠(かご)のドアに相当する両脇の部分を簾(すだれ)という。

こちら側の簾を開けて中に入り、向こう側の簾を開けて逃げてしまうから駕籠脱け。

 

我が国の金融庁および証券取引所は、日航の増資がらみの株価操作を全て追認してきたのだろう。

世界2位の資本主義国家を自負する証券市場で、莫大な株数の取引が受渡不能となりながら、3年半に及んで公表しなかった。

事情を知ったとされる日経・朝日・読売・毎日・時事通信・共同通信その他あらゆるマスコミは報道自粛に走る。

ところが何故か2009年8月27日、産経新聞だけが新聞紙面でなく “ ネットファースト ” と称する自社サイトで公表した。

 

産経ネットファーストの記事 2008年8月27日より抜粋

市場関係者によると、日航の増資に応募した香港の投資ファンドは、高い指し値で大量の

同社株の買い注文を出し、買い気配が高まった後に注文をキャンセルする「見せ玉」と

呼ばれる手口でいったん株価をつり上げた後、株価の下落を誘導する空売り攻勢を開始。

株式売買では取引成立の4日後に代金などを決済しなければならないが、同ファンドはさらに

4日後に支払いを拒む「受け渡し不履行(フェール)」を繰り返し、最終的に公募で取得

した新株を払い込みに充てるとともに、多額の利ざやを得たとみられる。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090827/crm0908271036004-n1.htm

 

下段の「最終的に公募で取得した新株を払い込みに充てる」の個所は誤り。

文意に従えば、払い込みでなく “ 受渡し ” 若しくは “ 決済

 

株券ペーパレス時代の今日、物理的に何百億円の受渡不能がなぜ起きたのか?

パソコン機器のボタン押し間違いはあるかも知れないが……。

背中に株券を背負った従業員が、自転車で茅場町を走り回った時代とは違うのである。

投資ファンドの売り注文を受けた証券会社は、事情を承諾した “ グル ” としか考えられない。

金融庁が 「 海外投資家による国内市場での不正取引は、監視委に直接の取り締まり権限がない 」 と言うなら、客注文を受けた証券会社を締めあげれば良かったではないか。

これは独り日航だけの問題では済まされず、我が国の資本市場の正当性を疑わせる巨大な背任行為であろう。

 

行政処分を覚悟で危険な取引を強行した理由は以下と推測される。

「信用取引の空売りを利用した場合、アップティック・ルールに抵触して株価を下落させることが不可能だったから」

 

あとで役所にギャンギャン叱られようとも 「 ここは頭を下げて突撃! 」

 

アップティック・ルールとは?

空売りは直前の取引価格より高値でしか売ることができない

当然ながら投資家は空売りか現物の区別を証券会社に明示する

 

近代資本主義国家としては起こり得ない、 “ 国家追認の駕籠け増資 ” を出発点にして、2007年のメガバンク・シンジケート団による協調融資と2008年の第三者割当増資が敢行された。

とうの昔に債務超過で資金ショートに陥ったかも知れない上場会社が、白昼堂々の資本調達で生き延びたのである。

だからこそ3年半も真実を封印してきた。

 

詐欺で稼いだ “ アブク銭 ” を元手に競馬で増やし 戸建を買ったような仕組みだ。

 

この件を訊ねようと新マネー砲談は9月2日午後3時頃、霞ヶ関の金融庁証券取引等監視委員会を訪問した。

 

正面受付でフェールとバイ・インのニュース記事を見せたうえ 「 一個人投資家だが、以下の報道で不明な箇所があるから教えてほしい」 と、頼んだところ待合室に座らされた。

待たされる事およそ40分で諦める。

放っておけば帰るはず、と一日本国民は馬鹿にされたのである。

過去の別件訪問では当方の質問を内部告発と勘違いして、直ちに2名で応対してくれたのだが。

余談だが1名はどこから見ても警察官の天下りだった。

 

時期的にラストチャンスだった? 駕籠脱けファイナンス

みずほ・政投銀、日航に2千億円融資 20070114

http://tokyoutlaws.web.fc2.com/takarada/insider.html

日航が MSCBを 発行 20083 3

http://tokyoutlaws.web.fc2.com/takarada/jal12.html

 

9月24日、民主党新政権の前原国土交通相は、前政権の “ 食い散らかした残飯 ” をどう処理するのか?

 

日航再建へ新旧分離案 政府と主力金融機関が調整(産経新聞 9月22日)

日本航空の経営再建に向けて、政府と日本政策投資銀行など主力金融機関の間で、採算路線などの優良

資産を新会社に引き継ぎ、不良資産の債務整理を旧会社が進める「新旧分離案」が浮上していることが

22日、分かった。

新旧分離では、不採算路線や過剰な保有航空機と設備、債務などの不良資産を旧会社に残し、航路廃止

や資産売却などの清算処理を進める。

特別立法で公的資金の投入を可能にし、8000億円の連結有利子負債の繰り延べのほか、新たな融資

に政府保証を付与し、旧会社の債務処理と日航の資金繰りを円滑化させることも視野に入れている。

 

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